今回のコラムを担当します、株式会社SSブレインの関 美分と申します。
今回のコラムでは、新入社員への指導者の役割と心構えについてご紹介します。
指導者は、指導において新人の知識や技術、能力を伸ばす役割を担います。
指導者は仕事や職務態度に関する内容を指導するため、踏まえておかなければならない約束事があります。
そこで、実際に指導者となってから、意識して心掛けていることを伝えてまいります。
1.指導者の立場・立ち位置を明確にする
軸足を経営者側に置く!
まず、このポイントを意識して指導にあたっています。
会社の中での新人指導ですから、経営者の考え、方針をしっかり理解し、会社のベクトルにあわせて指導することが大事です。
その意識が薄れてしまうと、時として指導内容がずれてしまうことがあります。
簡単な事例をご紹介します。ある会社で起きた出来事です。
新人が出社した際に、朝のあいさつをしたところ、たまたま通りかかった部長に
「●●君、ちょっと元気ないな~。うちは元気なあいさつを大事にしているからもっと大きな声であいさつしよう!!」
と、注意を受けたそうです。
新人はそのことを指導役の先輩に話しました。
「朝、部長からあいさつに元気がないと注意を受けました。自分のあいさつ、元気ないですかね~?」
すると指導役の先輩は
「そうなんだ。自分は特に気にならないけど…。別に気にすることないんじゃないの」
と言ったそうです。
それを聞いた新人は、「先輩が言うならいいのかな…」と判断し、あいさつを改善しなかったそうです。
いかがでしょうか。案外ありがちではないですか。
この事例は、まさに先輩指導者の軸足がぶれてしまった事例です。
指導者が自分の感覚で指導するとこのようなことが起きます。
「自分は気にならない」ではなく、大事なのは「会社としてどういうあいさつを求めているのか」、きちんと理解して、部下指導にあたらないとこのようなことが起きてしまうのです。
特にこの事例の中で先輩社員が口にした「気にすることないよ」「気にしなくていいよ」という言葉は注意が必要です。
指導者の先輩からこのような言葉をかけられたら、部長からの注意が台無しです。
「そうだったんだね。その場にいた部長が●●君のあいさつを見て、元気がないと感じたから注意をしてくれたと思うよ。明日からは、今日の声よりもっと明るい声で元気よくあいさつができるようにしていこう!!」
と、先輩からフォローすることができれば、部長の注意も新人に素直に受け止めることができるのではないでしょうか。
指導者の言葉に、新人は敏感に反応します。
先輩社員は「そんなに落ち込むなよ。これから気を受けていけばいいんだから」と慰めのつもりで言ったとしても、「気にしなくていい」というところだけ切り取られ、反省しない場合もあるのです。
2.自立型人材育成の3条件
新人が積極的に仕事にかかわり、自分の仕事に責任を持って取り組むことができるためにも、意識している指導の3条件があります。
①目的・背景を伝える
②型を伝える
③できたら承認、できなかったらフィードバック
①目的・背景を伝える
覚えてほしい事、やってほしい事のやり方だけ伝えるのではなく、なぜそうしてほしいのか、必ずその事柄の目的や背景を伝えます。
例
玄関先にお客様がお見えになったら、笑顔で明るいあいさつでお迎えしてください。
お客様はどのように自分を迎えてくれるのか、不安を持って来社される方もいます。
●さんの笑顔と明るいあいさつでお迎えして、その不安を取り除いて安心させてあげてください。笑顔で迎えてくれたらお客様はとてもうれしいです。
お客様と会社との信頼関係を築くことにもつながっていきます。
②型を伝える
指導者が言葉の説明と共に正しい「型」の見本を見せ、新人にできるように練習を繰り返して行います。
③できたら承認、できなかったらフィードバック
できているところは、言葉で伝え承認します。
「パッと、お客様に顔を向けたときの笑顔、OKです。とても、やさしい笑顔でよかったです」
できていなかったところはフィードバック
「あと、声が少し小さいかな。もう少し、高めにしてやってみましょう」
「じゃ~、私の方でもう一度やって見せるので見ててください」
「どう?これくらいの声のトーンと声の調子です」
「わかりづらいところありますか?」
「では●●さん、もう1回やってもましょう」
今回のポイントは下記2点です。
1.指導者は軸足を経営者側に置く
2.指導するうえで、自立型人材の育成3条件
①目的・背景を伝える
②型を伝える
③できたら承認、できなかったらフィードバック
以上のポイントを踏まえ、新人指導に臨むことで、会社のベクトルに沿った主婦パートの戦力化ができると考えています。
いかがでしたでしょうか。
今回は、新入社員への指導者の役割と心構えについてご紹介しました。
御社でも新人研修をされる際の参考にしていただければ幸いです。